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特区進出企業経営者インタビュー CASE 01

CASE 01 流行に敏感な東京市場へ、高付加価値の商品を

ビッグスマイルプロダクツ株式会社 会長
マーク・ブックマン氏
会長 マーク・ブックマン氏

20年以上もの間、インターネットサービスに従事してきたブックマン氏。バーティカル検索プロバイダMCN(エムシーエヌ)を創設し、同社の最高責任者を務めた。シリコンバレーのスタートアップ企業アドバイザーでもあり、著書もある彼が、いま、なぜ東京を投資先に選んだのかを語る。

「流行に敏感な東京市場へ、高付加価値の商品を」

ビッグスマイルプロダクツは、米国に本社を置くeコマース企業だ。2014年2月に米国で設立、タイにも拠点を設置し、ここ日本にも拠点を設置した(2014年5月現在)。

インターネット広告やテレビCMを通じてアジア市場で革新的な商品を販売する同社は、当初から東京に業務統括拠点を設置予定だった。その理由は、東京の立地条件と東京圏の測り知れない経済的影響力である。東京圏はアジアにおいて最も大きな、かつ最も影響力のある経済圏の一つであり、eコマース市場のハブである。さらに、目の肥えた消費者の高付加価値商品に対する購買意欲の高さ、「東京で受けられるサービスの信頼性の高さ」も東京を選ぶ大きな要因となった。

定刻通りに運行される公共交通機関、都市生活の高い安全性、維持管理の行き届いたインフラやインターネット環境など、東京では「当たり前」だと思われていることが、国際的には比類のない強みである。また米国と東京との時差は、香港やシンガポールに比べ、リアルタイムでビジネスを行うにはうってつけだ、とブックマン氏は語る。

ビッグスマイルプロダクツは東京にアジア地域業務統括拠点を設立するにあたり、都の外国企業誘致に向けたインセンティブの一つである無償コンサルティング支援を受けた。

東京都の補助金申請方法、東京でのオフィス物件サーチや高度人材の雇用など、都からの委託を受けたコンサルティング会社の無償コンサルティングがとても有益だった、と同社は高く評価している。

実は、ブックマン氏の場合は、ビッグスマイルプロダクツ設立以前から特区のインセンティブを知っていた。

そもそも小規模で人材にも限りがあるスタートアップ企業にとっては、東京で小さな外国企業にも賃貸可能なオフィス物件情報を入手することすら難しい。ビジネスをサポートしてくれるコンサルタントは、非常に心強い存在だ。ビッグスマイルプロダクツは都のインセンティブを最大限に活用し、順調に東京でのビジネスをスタートさせた外国企業の好事例だろう。

東南アジアの統括拠点として東京オフィスを設立したブックマン氏は、「日本は他のアジア諸国との連携を強化し、繋がりを深める必要がある」と言う。外国企業が東京の持つ強みをこれまで以上に生かすために、外国人企業家の視点から語られる「トーキョー観」に学ぶ点は多そうだ。

(タミ・カワサキ)

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